こんにちは。
エグゼムギターのメタル高橋デス。
当ブログでは、今までギターのメンテナンス編を多くお届けしてきましたが、今回は弦高調整について解説していきたいと思います。
ギターを演奏している方にとって、弦高は演奏性に直結する重要なセッティングになりますので、この記事で調整方法を学んでいただければと思います。
ただ、弦高を調整るするとは言っても、実際にどれくらいの数値にすれば良いのか、わからないですよね?
なのでこの記事では、多くのメーカーが採用している、工場出荷時の一般的な弦高の数値や正しい測り方、そして調整方法についてお教えしていきます。
弦高調整方法や標準数値を動画で学ぶ
まずは動画でやり方を解説しているのでご視聴ください!
弦高が高いのと低いのはどちらがいいの?
まずはじめに、ギターの弦高が高い場合と低い場合で、どのようなメリット、デメリットがあるのかを把握しておきましょう。
基本的に弦高は各々の演奏スタイルによって、好みで決定するのが良いでしょう。
今から説明しますが、弦高は音にも影響をきたします。
ただ、音を優先しても、弾けなければ意味がありませんので、やはり弾きやすさを優先した方が良いと思います。
それを前提として上で、メリットとデメリットをそれぞれ解説します。
高い場合のメリット
- サスティーンがよくなる
- 音の張りが良くなり音抜けが良くなる
- 音がビビりづらくなる
- ミュートしやすい
まずは高い場合のメリットについてですが、音に関しては良い面が沢山あるというのが一般的な見解です。
まず、弦高を高くすると弦のテンションが上がるため、それに伴ってサスティーンが伸びやすくなり、音が伸びやすくなります。
また、バンドサウンドの中で音抜けが良くなるとも言われていますね。
一音一音の存在感が増し、よりギターを弾いている感が出るでしょう。
そして弦高が高いことによって、音がビビりづらくなります。
ミュートがしやすくなるので、カッティング奏法がしやすいとも言われています。
このようにギターの音に注目をした場合、メリットが非常に多いことがわかりますね。
高い場合のデメリット
- 押さえるのに力が必要
- チョーキングがしにくい
- コード弾きがしづらい
- ピッチがずれる
続いてデメリットを紹介します。
まず弦のテンションが上がりますので、当然押さえるために力が必要になります。
それに伴って、チョーキングなどの奏法をする際も通常よりも力が必要になり、指が痛くなることもあるでしょう。
また、弦高が高いとコード弾きが非常にしづらくなるというのも想像ができると思います。
そしてピッチに関しても弦高が高いほどずれやすくなります。
なぜなら開放弦の状態から弦をフレットに押さえるまでの距離が通常より長くなり、その分チョーキングをしているような状態になるからです。
もちろん、ギター調整時にはオクターブチューニングをするのですが、ギターの構造上ピッチはある程度ずれてしまいますので、それがより顕著になるでしょう。
ただ、弦高によるピッチのずれは、耳ではほとんどわからない範囲ですので、デメリットにならないという考え方もできますね。
以上が弦高が高いデメリットですが、とにかく弾きにくいというがデメリットだと思います。
低い場合のメリット
- 押さえる力が弱くても良い
- 弦のテンションが弱くなる
続いては低い場合のメリットについてです。
高い場合の反対ですので、当然テンションが低くなりますので、押さえる力が弱くても簡単に押さえられます。
結果的に、低い方が圧倒的に弾きやすいというのが、多くのギタリストが感じるメリットでしょう。
特に、早弾きやスウィープを多用する人にとっては、低いことの恩恵の方が大きいと思います。
弦高が高いと早弾きできないは言い訳!?
余談ですが、BABYMETALのギタリストの大村孝佳さんが昔言っていたことを思い出しました。
「弦高が高くて早弾きが出来ないって言う人がいるけど、弦高が高いギターを早弾きしたかったら早く弾けばいいだけ」
確かにそうなんですけどね(笑)
ただ、低い方が圧倒的に弾きやすい事実は変わりませんので、どうしても音に拘りたい方は、高い弦高で早く弾きましょう(笑)
低い場合のデメリット
- 弦のビビりがでる場合がある
- チョーキング時の音詰まりがでる場合がある
- サスティーンが減る
- 音抜けが悪くなる
- ミュートしづらい
続いては低い場合のデメリットについてです。
これらは主に低くしすぎた場合です。
基本的にギターのセットアップは、極力これらのデメリットが出ないように、適度に低くするのが一般的だからです。
まず、弦高を低くすると、フレットとの距離が小さくなるので、弦のビビりやチョーキング時の音詰まりがでる可能性が上がるでしょう。
もちろん、それが出ないようにセッティングをするのですが、低くするとそのようなデメリットが出やすくなります。
またテンションが下がりますので、サスティーンが減りますね。
少し弦を押さえれば音がなってしまいますので、ミュートがしづらいというデメリットも出てしまいます。
以上がデメリットになりますが、適度なセッティングを行えば、あまりデメリットも感じませんので、ご自身でギリギリを責めてみましょう。
それぞれメリットとデメリットがあるので、バランスが大事!!
ギター弦高の正しい測り方
弦高調整をする上で、まずは正しく弦高を測る必要があります。
動画や記事でお教えしている方法は、全てこのやり方を基準にお話していますので、覚えておきましょう。
ポイントは4つです。
- 最終フレットで計測
- フレット上と弦下を計測
- メモリは真横から確認
- チューニングをした状態
基本的にギターの弦高は最終フレットと弦下の幅を測ります。
写真のギターは特殊で27フレットありますので、今回は24フレットを基準に計測となります。
ちなみに、測るフレットには諸説あります。
他の記事や動画によっては12フレットを基準に計測していることもありますが、どちらかに統一していただければOKです。
僕の場合は、ギタークラフト学校で学んだ通り、最終フレットを基準に弦高を測っています。
そして弦高を測る際は、必ずフレットの上と弦の下の幅を測りましょう。
写真の状態ですと、6弦の弦高は1.5mmジャストということがわかります。
またこの時、メモリを見るときは真横から見ることをオススメします。
そうしないと、メモリを正しく読むことが出来ません。
あと、念の為お伝えしておきますが、測るときは演奏をするチューニングをした状態でしましょう。
緩めていると弦のテンションが下がって、弦高が少し下がります。
なので、これから演奏予定のチューニングに合わせた状態で計測することをオススメします。
以上が弦高を計測する際の正しいやり方になりますので、覚えておきましょう。
今すぐ自分のギターで測ってみよう!
ギター弦高の標準数値の目安
正しい弦高の測り方を理解したところで、続いては一般的な弦高の目安について触れていきます。
特にギター初心者の方は、弦高を測って調整するとは言っても、どれくらいの数値が良いのかわからないと思います。
ですので、ここでは一般的にギターメーカーが採用している、工場出荷時の弦高の目安をご紹介したいと思います。
もちろん細かい数値はメーカーによって違いますが、僕がギタークラフト学校で教わった数値をご紹介します。
6弦 | 2mm |
5弦 | 2mm |
4弦 | 2mm |
3弦 | 2mm |
2弦 | 2mm |
1弦 | 2mm |
こちらが学生時代に作品を提出する際の数値でした。
この2mmという数値が、一番無難で一般的な数値になります。
ただ、これはあくまで参考の数値としてください。
低音弦側の2mmは特に問題がありませんが、高音弦側にいくほど、2mmの弦高は個人的に少し高いと感じています。
ですので、個人的にはこのような数値をいつも基準にしています。
6弦 | 2mm |
5弦 | 1.9mm |
4弦 | 1.8mm |
3弦 | 1.7mm |
2弦 | 1.6mm |
1弦 | 1.5mm |
このように高音弦にいくほど弦高を下げていくスタイルです。
これが一番バランスの取れた弦高の数値だと思います。
弦高については、個人的な見解も含まれていますので、必ずご自身のギターと演奏スタイルを加味して、最適な数値を探していきましょう。
参考にしてね!
ギターの弦高が決まる要素
さて、一般的な弦高の数値を確認出来たところで、そもそも弦高というのは、どういう要素で決まるのかについてお話しておきます。
初心者の方は、弦高はブリッジの駒の高さだけで決まると思っていますが、実はそれだけではありません。
ギターの弦高というのは、主に下記の4つの要素で決まるので、その点は意識しておきましょう。
- ナット
- フレット
- ネックの反り
- ブリッジの駒
ナット
まずギターの構造的に、弦はナットとブリッジの駒に乗っかって弦が張られています。
ですので、ブリッジの駒の他にナット溝の高さも弦高を決める重要な要素になります。
意外とこの点が見逃されがちですが、かなり重要な点ですので覚えておきましょう。
基本的に出荷時にナット溝の高さはギリギリ低く設定されていることが多いので、大抵は問題がありません。
ナット溝が高い場合
ただし、安いギターだとナット溝の加工が雑な場合があります。
その場合、ナット溝が高すぎるがために、いくらブリッジを下げても、なかなか弦高が下がらないです。
もしそうなってしまった場合は、ナット溝を削るしかありません。
しかし、ナット溝の加工はある程度の技術が必要になります。
そのため、ナット溝加工はショップに依頼をすることをオススメします。
ナット溝が低い場合
ナット溝は特にアーミングを伴うブリッジが搭載されている場合は、消耗してどんどん溝が低くなっていきます。
基本的にナットは消耗品ですので、いつかは交換が必要になります。
ナット溝の消耗が激しいと、フレットとの距離が自動的に近くなってしまいますので、ローフレット側の弦高が低くなってしまいます。
最悪の場合、フレットより溝が低くなり、開放弦の音がビビってしまいますので、ナットの交換が必要になるでしょう。
ナット交換についても技術がいる作業ですので、どうして弦高が上がらないという場合は、ショップで交換をすることをオススメします。
フレット
次にフレットについてです。
弦高はフレットと弦の距離ですので、当然フレットの磨耗も影響してきます。
基本的に計測する際は、12フレットもしくは最終フレットのように固定をしますが、厳密にはポジションごとに弦高が違います。
フレットもナット同様、消耗品ですので弾けば弾くほど削れていきます。
そのため、弦高調整をうまくしたと思っても、特定のポジションで音詰まりが発生してしまったりしてしまうのです。
この問題については、フレットの擦り合わせというリペアを行うことによって、対処が可能になります。
こちらについても技術がいる作業ですので、気になる方はショップに依頼をしましょう。
ネックの反り
続いて、ネックの反りについてです。
基本的にギターのネックは一直線というのは珍しく、大抵はどちらかに反った状態になっています。
ネックが反っていると、ポジションごとに弦高が変わります。
特に12Fや24Fでは、反りの影響を受けやすいので、弦高を調整する際は、まずネック調整を行う必要があります。
詳細はこちらの記事で解説していますが、「やや順反り」状態が理想的ですので、こちらを参考に調整をしてみましょう。
ブリッジの駒
最後にブリッジの駒です。
弦高調整は主にブリッジで調整すると認識している方が多いですが、基本的には上記3つのセットアップができている状態が前提です。
ブリッジの調整はあくまで最終段階で行う作業ですので、その点も覚えておきましょう。
やり方は非常にシンプルで簡単ですので、今から解説していきますね。
この3つの要素で弦高が決まるので、仕組みとして覚えておこう
弦高調整の基本手順
まずは手順からご説明しますね。
- ネック調整
- フレット擦り合わせ
- ナット溝調整
- 弦高測定
- チューニングを緩める
- ブリッジ調整
- チューニング
弦高調整は細かく書くとこのような手順を踏む必要があります。
ただ、ネック調整はまだしも、フレットとナットの調整は出来ているという前提で行なっても、大きな問題は起きないでしょう。
ここで一番注意しなくてはいけない点が、弦高調整の際はチューニングを緩めるという点です。
チューニングが合っている状態は、一番弦が強く張られている状態です。
その状態でブリッジを動かそうとすると、最悪の場合ブリッジの駒が割れてしまいます。
特に弦高を上げる際は、弦の張力に逆らうことになりますので、チューニングを緩めてから調整を行いましょう。
そしてブリッジの調整がある程度出来たら、またチューニングをします。
弦が緩んでいると多少弦高が変わりますので、面倒ですが何度も確認していきましょう。
ギターの調整は非常に手間がかかるものです。
なので、リペアショップでも、一見簡単そうに見えるセットアップで、それなりの金額がかかってしまうんですよね。
一度この大変さを味わえば理解できると思いますので、チャレンジしてみてください。
ギターの調整はめっちゃ大変なんだよ〜
『ブリッジ別』 弦高調整方法
ギターブリッジはたくさん種類がありますので、ここではメジャーなブリッジの弦高調整方法について解説していきます。
シンクロナイズド&シンライン
主にフェンダーのストラトキャスターやPRSに搭載されていることが多いトレモロブリッジになります。
またアームなしのブリッジも基本は同じです。
このタイプのブリッジの特徴は、各弦で個別に高さを調整出来るという点です。
このような仕組みになっているのは、フェンダー系のギターは指板のRがキツイものが多いからだと思います。
指板の丸みが激しいと、2点止めのブリッジのように、1弦と6弦側の高さしか調整出来ないブリッジでは、3、4弦の弦高が低くなってしまいます。
このブリッジでは駒にイモネジが採用されており、小さい6角レンチで回すことによって調整が可能です。
1駒に対してイモネジが2つついており、これらを同じ分だけ回します。
右回しで弦高が上がる
左回しで弦高が下がる
これが基本ですので試してみましょう。
各弦お好みの高さに調整出来たら完了です。
TOM&STP
主にギブソンのレスポールなどに搭載されているギターブリッジになります。
チューンOマチックタイプのブリッジは、6弦側と1弦側の高さ調整しか出来ません。
ですので、指板のRが浅いギターに搭載されるのが一般的です。
両片方しか調整できないので、基本的には6弦と1弦の高さを調整します。
右回しで弦高が下がる
左回しで弦高が上がる
これが基本動作になります。
TOMには、歯車のようなパールを回すタイプと、マイナスドライバーで回すタイプの2種類がありますが、どちらも仕様は同じです。
フロイドローズ
初心者にとって一番扱いづらい、ロック式トレモロのフロイドローズも基本的に弦高調整は簡単です。
このブリッジも2点止めのスタッドで支えられていますので、両端の弦高を調整可能です。
右回しで弦高が下がる
左回しで弦高が上がる
6角レンチ、もしくはマイナスドライバーを使って回すだけの仕様ですので、とても簡単です。
弦高調整に使用するアイテムは、パーツのメーカーによって若干違う場合がありますので、この後便利なグッズを紹介しますね。
簡単なのでチャレンジしてみてね!
便利アイテム
最後に、ギターの弦高調整を行う際の便利グッズについて紹介しておきますので、家にない方はいますぐ揃えましょう。
15cmスケール
ギタークラフトやリペアに超必須のアイテムです。
同時に一番なくなりがちなアイテムです(笑)
ギターを作っている人であれば、誰しもが何回かは無くしたことがあるでしょう。
一番のポイントは、0mmのラインとスケールの底辺が一致している点です。
そうでないと弦高は測れませんからね。
これは必須アイテムですので、必ず持っておきましょう。
6角レンチ
6角レンチもギターのメンテナンスをする上で必須アイテムになります。
トラスロッドの調整でも使うことがありますし、ブリッジの調整でもよく使うアイテムになります。
6角は色々なサイズが必要ですので、セットで買うことをオススメします。
マイナスドライバー
マイナスドライバーも地味に利用シーンが多い工具です。
トラスロッドの調整やブリッジ調整でも使用します。
所有していない方は持っておきましょう。
今すぐポチッと買っちゃおう!
弦高調整が終わったあとは
ここまで記事をお読みいただきありがとうございました。
無事に弦高調整が終わった後でもギターのメンテナンスはまだ続きます。
え!?まだ終わらないの??
と思った方もいると思いますが、ギターのセットアップはかなり大変なんです^^;
この後行う調整としては、ピックアップの高さ調整、そしてオクターブ調整です。
これらが終わって、やっとギターのセットアップが終了しますので、また記事で解説していきますね。
動画も更新しますので、楽しみにお待ちください!
ギターメンテナンス編は他にもあるので、見ていってね!!