こんにちは。
エグゼムギター代表のメタル高橋デス!
この記事をお読みの方は、ギターについて興味を持っている方だと思いますが、今までこんなことを思ったことはありませんか?
ギター高すぎやろ!!!!
世の中には1万円〜5万円程度の安いギターが沢山ありますが、それでも20万円以上する高いギターの存在が目立っています。
自分が目を惹かれて欲しいと思ったギターに限って、60万円!?みたいな経験がある方は多いと思います。
それにしても、
考えたことはありませんか?
一見するとぼったくりのように感じてしまう価格のギターが世の中に多いですが、その価格設定には実は裏事情があるのです。
今回の記事では、実際にギターを製作して売っている僕が、その裏事情を暴露したいと思います。
ぼったくり価格の正体を動画で確認
ギター高すぎ問題について動画でお話しているので、まずはご視聴ください!
エレキギターの価格構成
まず初めに、市販されているエレキギターの価格はどのように決まるのかについて解説していこうと思います。
エレキギターが高すぎる原因を解説する上で、基本的なお話になりますので、まずはここを把握しておきましょう。
これはどんな商品でも共通する部分ではありますが、ギターの価格は大雑把に言うと、こんな感じで構成されています。
(原価+利益)×消費税
当たり前と言えば当たり前の内容ですが、基本的には製造するのにかかったお金に、会社の利益が裁量で決められ、消費税が乗っかっているのが基本です。
そして、原価の部分については、さらに細かく分解するとこのような計算になります。
(原材料費+諸経費+利益)×消費税
ギターの原価と言っても、実はその中にはかなり細かい費用がかかっています。
この計算式も非常に大雑把ですが、原価は主に、
原材料費と諸経費
に分けることができます。
原材料費はシンプルに、ギター本体を作るために必要な素材の費用です。
諸経費はそれ以外の諸々の費用です。
エレキギターは非常に多くの要素が組み合わさって出来上がっていますので、その点は今から詳しく解説していきますね。
まずはこの基本を覚えておいてね!
エレキギターの原材料
まずはエレキギターの原材料について説明していきます。
先ほども記載しましたが、エレキギターを作るには、非常に多くの素材やパーツが必要になり、それが価格が高い原因の一因にもなっています。
具体的には、このような原材料が必要になります。
エレキギターの原材料
- ボディ材
- ネック材
- 指板材
- ナット材
- フレット
- ポジションマーク材
- トラスロッド
- ピックガード材
- 配線材
- ペグ
- ピックアップ
- ブリッジ
- 電子パーツ
- ノブ
- ジャックプレート
- ストラップピン
- 弦
- 各種塗料
ざっと書き出しただけで、これだけの様々な素材が使われていることがわかります。
ギターを作る際は、これらの材やパーツを全てかき集めて作ります。
当然手間もかかりますし、原材料にかかる費用もどんどん増えていくのが現状です。
ここでは、エレキギターを作るには、色々な材が必要で、それだけ費用がかさんでいるということを覚えておいてください。
ギター作るのに必要な素材、ありすぎやろー
ギター製作にかかる諸経費
次に、原材料費以外にかかる諸経費について解説していきます。
ほとんどのメーカーや工房は、ビジネスとして運営がされていますので、当然経費が沢山かかります。
EXEM GUITARSのような超小規模省エネ経営でも、数十万の経費はかかっていますので、他の工房も大変でしょう。
では具体的に、どんな諸経費が必要なのか紹介していきます。
ギター製作の諸経費
- 木工機械
- 塗装用具
- 工具類
- 消耗品類
- 賃料
- 光熱費
- 外注費
- 人件費
- 広告費
初期設備投資
ギター製作をビジネスにするのであれば、初期設備投資がかなりの負担になります。
小さい工房でも100万〜300万円くらいはかかっているでしょう。
EXEM GUITARSの場合は超省エネ経営で20万円くらいの設備投資費がかかっています。
ちなみにギターを作る上で、これくらいの機械類は必要です。
- バンドソー
- ベルトサンダー
- スピンドルサンダー
- ボール盤
- ルーター
- トリマー
- ハンドドリル
- コンプレッサー
- スプレーガン
それらの初期設備投資を回収しなければいけませんので、その分がギターの価格に上乗せされているのです。
最初から資金があった人は一括で出していると思いますが、資金がないところは融資を利用して賄っているでしょう。
そうなると毎月数万円が返済費用として必要なので、ギター1本あたりにいくら上乗せすれば利益が出るか、計算した上で価格が乗っています。
ギター製作をする上で、木工機械や塗装設備が一番経費がかかる部分ですので、そういった点も価格が高い原因になっています。
消耗品類
そして忘れてはいけないのが消耗品類です。
ギター製作には初期設備投資のような、基本1回買えば済むもの以外に、消耗品のかなりの負担になります。
具体的にはこのような消耗品が必要になります。
- マスキングテープ
- 両面テープ
- サンディングペーパー
- アロンアルファ
- 木工ボンド
- 木工パテ
- セメダイン
- ルータービット
- 替え刃
- 配線材
- ハンダ
- コンパウンド
- 指板オイル
- 各種塗料
- 塗装用品
ざっとこんな感じですね。
1つ1つは数百円でも、チリも積もって結構な負担になります。
こちらの消耗品の管理や発注も面倒なので、地味に負担になる部分です。
こういった地味にかかってくる経費も、ギターの価格に当然上乗せされているんですよね。
ギターを作るためには、本当に色々な物が必要になりますので、本格的に自作した方は覚悟してくださいね(笑)
運営費
ギターを作ること自体は上記の物があれば出来るのですが、そこにさらに運営費がかさんできます。
ほとんどのメーカーはビジネスとして運営していますので、それなりの経費がかかっています。
電気代
製作上は光熱費の負担が一番大きいでしょう。
EXEMの場合は家庭用電源で使用できる機械ですが、ほとんどの工房は200ボルトの大型機械を導入しています。
当然電気代の負担も増えます。
賃料
また当然賃料もかかります。
例えば賃料が月に20万円だったとします。
単純計算で月に5本の受注があったら、1本あたり4万円の経費がかかっていることになりますので、価格に上乗せしないと赤字になります。
外注費・人件費
そして、ギターを作る上で欠かせないのが、外注費と人件費です。
ギター業界は実は、ほとんどが外注によって支えられています。
全ての作業を自社で行なっているところは珍しく、ほとんどのブランドは他者に一部作業を外注しています。
なので外注費、そして人件費をかけているところもあるので、その点も大きな負担でしょう。
そんなこんなで莫大な経費がかかってしまうので、それもギターの価格が高い原因となっています。
ギター作るのに金かかりすぎ!!
エレキギターがバカ高い理由
さて、今までの内容では、主にギターにかかる原価の部分について細かくみていきましたが、ここではそれ以外の部分にフォーカスを当ててご説明します。
- ギタービジネスが非効率
- 木材価格高騰
- ブランド価値
- シグネチャーモデル
- アニバーサリーモデル
- 希少価値
ギタービジネスが非効率
そもそもはお話ですが、ギターを作って売るというビジネスモデルは、効率の良いビジネスではありません。
木を削って塗装して売るという古典的な商売のため、利益効率は非常に悪いです。
尚且つ、生活必需ではないので非常に不安定な業界です。
ですので、価格を上乗せして、なるべく利益を乗せるしか生き残る術がないというわけです。
原価に対して考えれば25万円で売れる物も、買ってくれる人がいるのであれば40万円で売りたいという工房がほとんどでしょう。
そんなこんなで、ギターが高くなっているんですよね。
ギター製作の自動化問題
世の中にある製造業のほとんどは、自体が進むに連れて、ほとんどが自動化し、コストが大幅に下がっています。
しかし、ギター業界は自動化が非常に遅れており、製造にコストがかかります。
これは木工機械メーカーや塗装器具メーカーの怠慢であるとも個人的には思っています。
なぜなら、木工機械や塗装器具は、何年経ってもずっと同じような物しかないからです。
僕がギタークラフト学校を卒業してから6年くらい経ちますが、今の木工機械は当時と全く変わりません。
むしろ昭和から何も変わってないと言っても過言ではないほど、機械類の進化が乏しいです。
ルーターやトリマーなんて、深さ調整をデジタル表記や自動調整なんて、今の技術があったら簡単に出来るはずです。
塗装用のスプレーガンも何1つ機能面の進化がなく、ずっと昭和のままです。
ギター製作周りで進化しているのは、せいぜいCNCルータくらいでしょう。
CNCは低価格化と小型化が進んでおり、一般人の手が届く機械になりました。
それもあり、現在はギター製作における木工の部分は、ほとんどCNCで自動化が可能になっています。
その点は良いのですが、依然として手作業が必要な部分が多く、その部分がギターの高価格化の原因にもなっています。
アメリカでは全自動塗装もあるようですが、ギター製作の自動化はまだまだ先が遠そうですね。
木材価格高騰
そして、ギターが高い理由の2つ目に、木材価格の高騰という要因もあります。
木材という貴重な資源には限りがあるので、森林伐採の問題もあり木材価格は常に高騰しています。
昔のように好き勝手、森林を伐採し簡単には輸入できないので、木材調達コストが上がってしまっているのが現状です。
特にエボニーなんかは、質も下がり価格が上がっているという状態…
さらには、キルトメイプルなどの希少材に関しては、昔は割と安く選び放題だったそうですが、今はそうもいかない状態です。
木材資源枯渇問題は、ギター業界に直結する問題ですので、この先代わりの良い素材が出てくれば非常にありがたいですね。
ブランド価値
ギターの価格が高い理由として、次にブランド価値という要素について挙げます。
世の中にはブランドというものがあり、そのブランドのロゴを貼るだけで価格を上乗せ出来るという風潮があります。
一番わかりやすいのはESPです。
グラスルーツ<エドワーズ<ESP
基本的にESPはこの三段階のブランドがあります。
もちろん上に行くほどクオリティも高いのですが、価格差ほどの差は実はありません。
原材料費についてもさほど変わらないですし、クオリティが高いとは言っても数十万上乗せするだけの差はないです。
ただ、ESPという最高ブランドの価値もあり、高い価格でも売れるという構造になっています。
人はブランドというものに魅力を感じ、お金を払う生き物なので、それもあってギターが高いという理由にもなっています。
シグネチャーモデル
次に価格が高い原因の1つになっているシグネチャーモデルについて解説します。
シグネチャーモデルは、アーティストが使用しているモデルのギター
多くギターキッズは、誰かしら憧れのギタリストがいて、自分もそうなりたいと思ってギターを練習すると思います。
誰しもが憧れているギタリストのギターを自分も使いたいと思ったことがあるでしょう。
アーティストモデルに興味を持っているユーザーは、そういった心理なので非常に購買意欲が高く、その分メーカーは価格を上乗せして利益を取りにいきます。
なので、ギターが高い理由の1つにもなっています。
アニバーサリーモデル
シグネチャーモデルに続いて、アニバーサリーモデルも挙げておきます。
こちらはブランドの何周年記念で出されることが多いですが、本数限定の仕様である場合が多いので、価格がかなり高いです。
ギターの原材料や製造コストに関わらず、記念品というだけで価格が高い場合がありますので、その点も覚えておくと参考になると思います。
希少価値
最後に、高いギターには希少価値が乗っている場合があります。
それが顕著なのがヴィンテージギターです。
ヴィンテージギターは基本的には有名メーカーで昔に作られていただけのギターです。
しかし、その希少性から、とんでもない価格がついているヴィンテージギターが多く存在します。
そういった昔に作られた希少価値の高いギターは、あり得ない高価格で販売されることがありますので、希少価値も価格に加わることを覚えておきましょう。
ちなみにヴィンテージギターについては、こちらの記事で解説しています。
ギターがバカ高い理由はわかったかい?
ハイエンドギターはぼったくり?
お次のテーマは、ハイエンドギターについてです。
高すぎるギター代表のハイエンドギターですが、正直ぼったくりでは?と思っている方もいると思います。
では実際どうなのかというと、原材料費の面で言えば、めちゃくちゃぼったくりです(笑)
ギター製作には諸々の経費はかかりますが、それでも40万〜60万円、もしくはそれ以上のギターは高すぎです。
ギターの原価暴露はまた別の動画と記事で行いますが、ギターの原価はせいぜい10万円前後です。
材を1つずつ集めても、よっぽどな仕様でない限り、原材料費は5万〜8万くらいなんですよね。
なので、ハイエンドギターの価格は、工房の利益が相当上乗せされていると思います。
確かに希少材は価格が高いですが、それでも2、3万円の違いしかありません。
ただ、塗装以降のクオリティを上げるための手間賃が相当部分とブランド価値が乗せられているので、あの値段になっているのでしょう。
これをぼったくりと思うかは人それぞれですがね(笑)
ハイエンド詐欺には要注意!
最後に伝えたいこと
最後に、この記事で一番お伝えしたいことがあります。
それは、
ギター作るのはメチャクチャ大変なんです!
色々な機械も必要ですし、手間暇もかかります。
労働に対して割りに合わない利益しか出ないので、効率の悪いビジネスであることも間違いありません。
ギター高すぎじゃね??と思うかもしれませんが、そこには色々な工程があり、人が関わっているということを忘れないでくださいね。
高すぎるギターに出くわした時は、ぜひこの記事を思い出していただき、その価格に納得して買ってください(笑)
本日は以上となりますが、最後までお読みいただきありがとうございました。
高いギターを買いたくなった方は、サウンドハウスでポチってください。
今後はギターの原価暴露を行なっていくよ〜
他にも沢山記事があるので見ていってね!